みなさん、こんにちは!
エンジニア産業医の榎本純也(@EJ_tohands)です。
日本は検査しなすぎで異常だとBloombergさんに叩かれてましたねぇ。確かに周囲に合わせることが好きな日本人にもかかわらず、諸外国より圧倒的に数は少なく指摘はごもっともな点ではあります。
さてさて、原点に立ち戻って、検査をする意義を専門用語を完全に抜いて非医療者に向けて説明いたします。
目次
1.検査をする意義
2.コロナウイルス(COVID-19)の検査:PCRとは
3.検査をするメリット
4.検査をするデメリット
5.Bloombergさんのご指摘とは
6.日本の体制はうまくいってるの?いってないの?
1.検査をする意義
はい、病気を見つけるためです(笑)
・・・もう少し掘り下げましょう
病気によっては診断する(=この病気だ!!と断定すること)時に必ずしも検査が必要というわけではありません。
今回のCOVID-19も武漢では2月頃に一時的に臨床診断をみとめておりました(2020/3/19時点では廃止されている模様。違ってたら教えてください)。
じゃあ何で検査が必要なの?と言われれば、検査をする前の病気である確率と検査をした後の病気である確率を変化させるためです。
うーん、難しいですね。ざっくり言うと
➀ 〇〇病であるというための検査
② △△病ではないというための検査
このどちらかに該当しなければ検査は意味がありません。そしてもう一つ大事なこと。
③上記を100%断定できる検査は存在しない
これめちゃ大事です。そして一般的に理解されていないことでもあります。
「検査をすることが目的」ではありません。
2.コロナウイルス(COVID-19)の検査:PCRとは
こちらは患者さんから検体を採取して、特殊な機械にかけて遺伝子を増幅させる検査です。
え?ウイルスなのに遺伝??遺伝子???
この記事では大事じゃないので忘れましょう(笑)
大事なのは
➀患者さんから採取する(一般的には鼻から。髄膜炎など特殊なケースは髄液など各々の個所からとります)
で、このPCR検査、現在の所あまり精度が高くないのですよ。想像しやすいと思うのですが、症状が乏しい人などはウイルス量が少ないと考えられます。
そんな患者さんの鼻から採取しもウイルスが必ず存在するかと言われれば、HITしにくいでしょうね。
情報は様々なのですが高めに見積もっても感度 70%と言われています。
専門用語なので忘れてください。覚えててほしいのは
陰性であっても少なく見積もっても 30%はずす
ざっくりこんな感じで大丈夫です。
検査陰性とか表現するから誤解を招きやすいのかなぁ。
「検査の結果、不明でした」って医師が説明すれば逆に納得するような。
3.検査をするメリット
ここから難しいですよ~
3.1COVID-19っぽい人をCOVID-19と断定するため
PCR検査をする意義は
「あなたはCOVID-19」ですよ!!というため
です。つまり、5日ほど熱が続いてだるくて・・・怪しい!
⇒検査
⇒陽性
はい、症状軽いので自宅療養してください。重症であれば入院ですね。
決して
⇒陰性
⇒よかった~ 明日ライブ見に行く予定だったんです~♪
ではないです。ここだけ今日覚えてていただければ・・・
3.2 軽症(無症状含む)の方をCOVID-19と疑うため
こちらが日本であまりされていない検査となります。市中でのCOVID-19が広がりつつある現在、封じ込めをするには無症状やそれに近い方にも検査をしなければなりません。詳細は別記事にゆだねますが現実問題難しいと思われます。
無症状の病原体保有者、こちらが他の方に病気を移すかどうかはWHOによると解明されておりません。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q11 )
よって、ここまで検査を広めるかどうかは賛否両論あっておかしくないと思われます。
4.検査をするデメリット
4.1感染が広がる可能性
デメリットは先ほど述べた
陰性 ⇒ 安心した ♪♪
と勘違いして、ウイルスをまき散らすことです。
「え?何で検査陰性なのに安心できないの?多少は病気の確率はさがるんじゃないの??」
うーむ、これを説明するには感度特異度を説明しなければならないのですが、簡単に言うと数%くらいは下がるかもしれません。(データがないので厳密なことは言えません。ご了承ください。)
4.2 一番汚染されているであろうところは病院
いえいえ、病院が掃除されていないとかそういう話ではありません。
考えてみてください。現在都内全域で患者数は0.000…△%なんですよ?つまりほとんどいない。そしてその病気(もしくは病気っぽい人達)はどこに行きます?
はい、みんな病院行きますよね。
数%の安心を得るために検査をしに行ったら実はそこで病気をもらってきた
こんなことも起こりうるのです。
なので僕は現在は極力病院で働きたくな
4.3 医療従事者の負担増
冬場のインフルエンザの流行期、救急外来で研修医たちが熱を出した患者さんの鼻にひたすら検査キットをいれる。
これよく見る光景です。
(俺はこんな状況なら検査全確率高いので検査せんけどな)
研修医って世の中の皆さんが思ってるよりめちゃくちゃ優秀です(一部を除くw)
その戦力が治療に参戦できない、これは医療機関にとってかなりの痛手となります。
4.4 医療従事者の感染リスク
実は鼻から検体をとるときが感染のリスクとなります。なので、完全防護して採取しなければなりませんが、忙しい外来中に全身装備をして、患者さん毎に着替えるのは
無理!!!
5.Bloombergさんのご指摘とは
Bloombergさんの記事: https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-03-12/coronavirus-lessons-for-the-world-from-ground-zero-of-asia
ざっくり要約すると
➀日本検査数少ないから感染者比較のグラフから外した
②日本の体制は大丈夫なのか??
ってかんじです。
まあごもっともと言えばごもっともなんだが・・・
➀に関しては外していただいた方がよいかと思います。例えば イタリアと日本で感染者数を比較したら日本の方が少ないので日本の方がうまく対応できている
⇒これは言い切れない
なぜなら検査数が違うから。妥当ですね。
ちょっと切り口変えると「 イタリアと日本でCOVID-19による死亡者数を比較したら日本の方が少ないので日本の方がうまく対応できている 」
これだと妥当性はあがりますね。ただ死亡率に関しては様々な要因があるので一概には言えないが感染者数で比較するよりはずっとよいかと。
もちろん、医療現場で原因不明の死亡、肺炎などが増えてなければという条件ですが。
②は現時点では何とも言えない
なぜなら前述のデメリットがあるので。もしかしたら、検査をしないことで広がりを抑制している可能性もあり。これは神のみぞ知るってやつです。
6.日本の体勢はうまくいってるの?いってないの?
はい、わかりません。体制というより文化の影響が大きいかもしれません。諸外国のように路上でハグしたり接吻したり日本ではありませんからね。
「これだけ語って検査と結果は関係ないの??」
いや、わかんないんです。因果関係とまでは言えないから。というのは検査陽性の人が本当に自宅待機しているかとかモニターできないし。
ただ死亡者数は諸外国より少ないというのは事実なのでひとまずは胸を張ってもいいのでは?
冒頭の日本は異常なの?に対しては、はい諸外国が一般的なら日本は異常かもしれませんね。ただそれだけの話。
専門科:救急科 / 対応可能エリア:東京都近郊、宮城県(主に仙台市) / 得意とする業務・業種:IT企業 / コメント:各部門の垣根を取っ払いみんなが笑顔でいられる企業づくりをお手伝いいたします。