テレワークを元気に続ける3つの秘訣

こんにちは、Tohands 産業医・精神科医の堤(@djbboytt)です。

この記事を書いている3月22日現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が日本をはじめ世界中で大流行し、企業におけるテレワーク(リモートワーク)の導入や拡大が進んでいます。

この記事を読んでいる方の中には、


「最初はやったー!と思ってたけど、意外に疲れるな・・・」
「だめだ、全然集中できない」
「1日中仕事している気がする・・・」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 そこで今回は、テレワークを元気に続けるために個人でできる対策をご紹介します。


1.テレワークを「ととのえる」4つのルーティンアクション

テレワークになると必然的に生活のリズムが変わり、

「なんとなく調子が悪い」

という状態を引き起こしやすくなります。

生活のリズムが変わるとなぜ身体の調子が悪くなるのでしょうか。

答えは「自律神経の乱れ」いわゆる体内時計の乱れなのです。

生活のリズムを安定させ、自律神経を整えるためには、「4つのルーティンアクション」がおすすめです。


1.オフィス出勤時と同じ時間に起きる

 テレワークになると通勤時間が短縮できる分、ついつい寝坊してしまいがちです。しかし自律神経は急なリズムな変化に耐えられません。

テレワークであってもできるだけオフィス出勤時と同じ時間に起きるようにしましょう。

「そんなこと言っても通勤時間分眠りたい…」

そんなあなたは「誤差30分以内」ならよしとしましょう(笑)

特にテレワークとオフィス出勤を交互に繰り返す場合はここを意識すると効果的ですよ。

2.必ず1度は外に出る

  自宅でテレワークを行う場合、起きてから一度も外出せずにデスクに向かう方もいらっしゃると思います。

じつは、これも自律神経を乱してしまう原因の一つです。

人間の自律神経は、日光などの強い光によって日々調整されることが知られています。

残念ながら屋内の照明では明るさが不足しているため一度は外に出て日光を浴びるようにして下さい。

外に出られないこの時期、ベランダや窓辺に出るだけでも違いますよ!

3.軽い運動をする

 現代人はただでさえ運動する機会が減っています。

そんな中で通勤は貴重な運動の機会です。

テレワークになるとこの通勤さえしなくなり運動不足になってしまいます。  運動不足もリズムの乱れや自律神経の乱れにつながります。

先述した1度の外出時についでに散歩をしたり、ストレッチや軽体操をしてから仕事に臨むと気持ちも乗りやすいですしリズムも作りやすくなります。

また、自宅の環境などが必ずしもオフィスと同じでなく、椅子や机がデスクワークに不向きな場合もあります。

作業の環境を見直すとともに、肩こり・腰痛予防などに運動・ストレッチも取り入れましょう。

※おすすめ検索ワードは「PC作業 姿勢」「家でできる ストレッチ」など!賃貸マンションでできる運動動画もたくさんあるので、ぜひ調べてみてください。

運動は仕事のパフォーマンス向上やストレス解消にも効果的ですので、

「45分作業したら5分ストレッチ」など、アラームをセットするのも良いですね。

4.仕事の前に身だしなみを整える

 テレワークの場合、着替えをしなかったり、パジャマのまま仕事を始たりする方もいらっしゃるでしょう。

しかし、身だしなみを整えないと、つい気持ちが緩んですぐに横になってしまうなど、気持ちが仕事モードに切り替わりません。

ひげを剃る、軽くお化粧をする、仕事着に着替える。腕時計を付ける、など

簡単な動作で良いので身だしなみを整えて仕事のスイッチを入れましょう。

逆に仕事が終わった時は、普段着に着替える、腕時計を外すなどの行動が仕事モードを終わらせる合図にもできます。

この4つのアクションをルーティンのように取り入れることでリズムをつくり、元気にテレワークを続けることができます。

2.on/offを意識しよう 

〜2つのキョリと「ソトオキ」化〜

 最近は、スマートフォンやインターネットが普及し、どこでも仕事ができるようになりましたよね。

これは裏を返すと「どこでも仕事をしなければならない」状況になったということです。

オフィスにみんなが勤務しているときは、オフィスを出たら仕事の話はしないというような雰囲気ができていても、

多くの人がテレワークになると、仕事と仕事以外の線引きが空間的にも時間的にもあいまいになります。

そうなると仕事のON/OFFが付けづらくなり、メンタル不調を引き起こしかねません。

そこでON/OFFの付け方の工夫として

「2つのキョリ」と「ソトオキ化」についてお伝えします。


 1つめの「キョリ」:空間的な距離

 まず大事なのは仕事と空間的に距離を取ることです。

空間的の距離の取り方は、できるだけ仕事をする場所としない場所を明確に分けることです。

リビングや寝室など本来であればくつろぐ目的の空間に、パソコンなどの仕事の道具を置いてしまうとどうしても気が休まりません。見るたびに仕事を思い出してしまうからです。

そのため、

・仕事をする部屋を分ける

・仕事が終わったらパソコンを閉じてコンセントを抜き、見えないところに収納したりする

などの工夫が必要です。

人によっては寝室にスマートフォンを持ち込まない工夫をしている方もいます。


 2つめのキョリ:時間的な距離

人間がしっかりとリラックスし休養を取るためにはある程度の時間が必要です。

そこで大事なのは、時間的な距離の取り方です。

ある研究では翌日に仕事が控えているだけで睡眠が悪化すると報告されているほど、時間的なゆとりがないとどうしてもストレスを感じやすくなってしまいます。

ぜひ時間的な距離を取る=リラックスする時間を確保するということも意識してください。

例えば、

・仕事をしない時間をしっかりと決める

・スマートフォンやPCなどの通知を切る

・職場全体で時間外は連絡を控えるなどのルールを作る

といった工夫も必要です。

また長時間労働は心身の健康に悪影響を及ぼすと言われています。

テレワークではついつい労働時間が長くなりがちなのでいつも以上に注意が必要ですね。

 仕事を「ソトオキ化」する

 自宅でテレワークをしていると、いつでも仕事ができてしまいます。そのため、夜遅い時間にふと仕事を初めて次の日寝不足になってしまったなどということが良く起きます。

どうしても仕事のことが気になる場合は、忘れないようにメモに残して次の日にやるなど、

頭の外に仕事のことを出す=「ソトオキ化」

することを心がけましょう。

ちなみに一日の終わりに、その日やり残した事や翌日のやるべきこと、すなわちToDoを振り返るのは避けた方がいいと言われています。

これをやるとどうしても「やりのこした感」が出るからです。

ソトオキ化するには、思いついたこと一つにとどめてそれ以上仕事のことを考えないのが重要です。


3.積極的にコミュニケーションをとろう 「プロセス重視」

 最後にテレワークで特に問題になる、「プロセスが見えない」問題とコミュニケーション変化の問題についてです。

テレワークでは、プロセスが見えないため成果物が重視されます。

これ自体は全く問題ない事なのですが、こういった評価になれていない職場の場合、管理者も部下も戸惑うことになります。

テレワークでは、コミュニケーションが必然的に変化します。

今までは、顔を合わせて気軽に会話していたのが、メールやチャットなどの文字情報の比重が増えます。

これは便利な側面もありますが、ニュアンスが伝わりずらかったり、

会話以上に「一度整理して文字にする」という言語化の力を必要としたりするため、慣れないうちはとてもエネルギーを使います。

zoomやFaceTimeのように顔を見ながら会話できるツールもありますが、これをつなぐことができるのは会話の間だけです。

人間は、会話の瞬間だけでなくその前後の相手の動作や雰囲気も察知しながらコミュニケーションを取ります。

例えば

「部長は今忙しそうだから話しかけるのをやめよう」

などと読み取っているのです。

また、オフィスでの何気ない会話から発見が生まれたり、仕事の進捗を確認したりもしています。

 この「プロセスが見えない」問題とコミュニケーション変化の問題は、逆説的ですがコミュニケーションを密にとることで解決できます。

成果物だけの評価で戸惑う理由の一つはプロセスが見えないことです。

コミュニケーションを密にとることでプロセスを見ることができ、進捗の確認などが可能になります。

オフィスにいるときは、すき間時間などで話しあっていたことをあえて打ち合わせの時間などを時間を決めてこまめにやり取りするようなルールを作るとよいでしょう。

おわりに

 今回はテレワーク(リモートワーク)で個人ができる工夫をお伝えしました。これとセットで産業医の川角先生が書かれた、管理者向けの「テレワークにおけるラインケアの大切さ」という記事も併せて読んでみてください。きっとお役立ていただけると思います。

また、Tohandsでは定期的にオンラインセミナーを実施しています。

4月22日のテーマは「Withコロナ時代の産業保健&テレワークのメンタルヘルス」です!無料オンライン開催ですのでぜひご参加ください!