データから見る産業衛生の効能

産業衛生をおろそかにするとこれだけの損失が生まれます

休職者ひとりあたりにかかるコスト

422万円

30代後半年収600万円の社員が6か月休職する場合の会社のコスト負担
仮定:休職前後3か月、休職中6か月周囲の従業員が残業で仕事を手伝う
*出展:企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット(内閣府)
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/wlb/pdf/wlb-kigyoumeritto.pdf

メンタルヘルス不調による休職・退職者の割合

3人/500人8人/1000人

過去1年間にメンタルヘルスで1か月以上休職または退職した人数割合より
*出展:平成 29 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h29-46-50_gaikyo.pdf

メンタルヘルス不調による休職者の年間コスト試算

従業員500人の会社: 1,266万円

従業員1000人の会社: 3,376万円

休職による「見えないコスト」、試算したことありますか?

従業員の心身の健康は会社の経営指標に直接影響を与える課題です。内閣府による試算では30代後半年収600万円の社員が6か月休職する場合の会社のコスト負担を422万円と試算しています。もちろん、これは多くの仮定に基づいた上での試算ではあります。しかし、興味深いことは、休職のコストを他の従業員が残業で補う時間給をコストとしていること、また、休職中だけでなく、休職前後の3か月に、他の従業員へ仕事を引き継いだり、復職期間の周りの支援も(段階的に当人に仕事を戻すため残業はすぐにはゼロにならない。)コストも含めていることです。この計算式は退職の場合にもある程度あてはまり、コストの規模感が大きく異なることもないと考えられます。

一方、厚生労働省の出している資料によると1年に0.3%~0.8%(企業規模によって割合が異なる)の従業員がメンタルヘルスを理由に休職または退職していると公表しています。以上から算出すると、500人程度規模の会社では1300万円弱、100人規模の会社では3400万円弱のコストがかかっている事になります。当然のことながら、社員の望まぬ休職・退職の理由はメンタルヘルスのみならず、各種怪我や疾病が原因となることもあります。総じて、従業員の心身の健康の問題が企業にとっては数千万円以上のコストとなっているともいえるでしょう。

産業医の登録は50人以上規模の会社において法的義務になっており、それがゆえに、産業医の存在が「ただのお守り」「法的義務を果たすためのコスト」となっている状況は決して珍しくありません。しかし、もう一度考えてみてください。同じ費用をかけるなら、従業員の安心して働ける環境に務めてくれる産業医に、御社の産業衛生を任せたくはないでしょうか?